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フランス「核実験被害者補償法案」:エルヴェ・モラン仏国防相の発言内容(フィガロ紙)

エルヴェ・モラン仏国防相は、フィガロ紙のインタビューで「核実験被害者補償法案」の内容を発表し、核実験の被害を一切否定してきた従来のフランス政府の姿勢を一転し、被害があったことを認めた上で、国が補償する制度をつくる意向を表明しました。以下は2009年3月24日付フィガロ紙のインタビュー記事の訳です。

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核実験被害者に1,000万ユーロ

(フィガロ紙, 2009年3月24日付)

モラン国防大臣は、アルジェリア領サハラ砂漠とポリネシアで行われた核実験の被害者を補償する法案の内容をフィガロ紙に明らかにした。

フィガロ紙:フランス核実験の健康に対する影響の賠償に関する法案づくりを終えられ、まもなく閣僚会議に提出されるそうですが、その基本的な考え方はどのようなものでしょうか?

エルヴェ・モラン:公正だけれども厳密な補償のメカニズムをつくりたいと考えました。対象となる民間労働者と軍人は、理論的には15万人にのぼります。これには核実験当時サハラ砂漠やポリネシアに住んでいた住民は含まれていません。司法官を委員長とし、医師で構成する独立の委員会が、各ケースごとに審査することになります。申請が受理された場合には、損害の賠償は完全な形で行います。初年度の予算としてすでに1,000万ユーロを国防省予算として計上しています。

その委員会は、具体的にどういう基準で判断するのでしょうか?

国連の専門機関の科学的・医学的データにもとづいて行います。とくにこれまでと違う点は、今後は放射線被曝と疾病との間の因果関係の挙証を求めないということです。つまり、賠償の申請を拒否する場合には、その疾病が放射線被曝に起因するものでないことを国側が立証する義務を負うということです。

被害者団体は、元核実験従事者のほんのわずかしか補償の対象にならないのではないかと心配しています。これにはどう答えられますか?

この要請に対しては、拡張版疾病リスト(国連のもの)にもとづいて行うことを決め、さらに最少被曝線量の閾値を定めないことにしました。このほか、透明性に配慮して補償を行うということを申し上げたい。そのために、核実験を実施した条件や大気環境に関する公文史料をすべて開示しています。現在、医学アカデミーと科学アカデミーの2人の教授にこの史料を調査していただいているところで、12月に報告書が提出されることになっています。このほか、核実験に参加した3万人を対象に健康状態を調べる疫学調査を独立の機関に委託しており、評価を行うさいの補足材料となるはずです。

この問題の解決がこんなに長引いたのはなぜでしょうか?

国防省の原則的立場は、核実験ができる限り安全に行われるためにあらゆる対策を取ったというものでした。さらに歴代政府は、補償の扉を開くことは、信頼性のある核抑止力をもつためにフランスが行ってきた多大な努力に対する脅威となると長い間考えてきました。2007年に私がこの問題と取り組み始めたとき、省内や他の閣僚の反応は冷たいものでした。核実験がもたらしたかも知れない健康への影響と取り組むことを拒否してきために、非合理や噂、さらには非現実的な話がまことしやかに行われてきたのです。また、長い年月を要し、先の見通しの立たない裁判を、多くの場合強い信念を持ってフランスを世界の軍事大国の一員にしてくださった同朋市民の方々に強いることを避けることも重要でした。■

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