ラコスト仏原子力安全庁(ASN)長官による福島第一原発の今後の見通し
仏原子力安全庁(ASN)のアンドレ=クロード・ラコスト長官は、3月30日の科学技術評価局(OPECST。国民議会・上院の機関で、行政から独立)の聴聞会で、福島第一原発の状況について、次のように発言しています(抜粋。[ ]内は真下)。
われわれは毎日、アメリカ、カナダ、イギリスと毎日ビデオ会議を開いて情報交換している。とくにわれわれにとって有益なのは、米NRCの職員約10名が支援のために日本にいることだ。なぜ日本がアメリカの当局を選んだかというと、まず第1にアメリカ当局は沸騰水型原子炉のことをよく知っているから(私の機関[仏原子力安全庁(ASN)]はよく知らない[フランス原子炉はすべて加圧水型炉])。もうひとつは政治・経済面で近いということ。
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いつこの状況から脱出できるか? 脱出できるためには2つの条件が充たされることが必要だ。まず、施設全体にま水による恒常的な冷却が必要だ。現状のような放水車で海水やま水を格納容器や、時々は圧力容器に(これは分からないが)放水車で入れるのではなく、電気モーターでま水を循環させる通常のやり方に切り替えなければならない。しかし、これだけではまだ足りない。この水を冷却源に戻してやる必要がある。これがないと、閉じた系で水を循環させることになって、熱が減らない。付け加えれば、間に合わせのサイクルで供給している限り、注入する水の行き先は、水蒸気になって放出されるか、流れて漏洩して土壌や海を汚染するかのどちらかしかない。したがって、閉じた水のサイクルを冷源で冷やすところまでもって行く必要がある。
これにはどのくらい掛かるか? 数週間、場合によっては数ヶ月だろう。
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確かなことは、汚染状況にもよるが、この[30km圏内外の汚染された]地域の管理はむこう数年間、場合によっては数十年間にわたって極めて困難な状況が続くということだ。