被害者の運動潰し:フランス国防省の「核実験被害者補償法案」
エルヴェ・モラン仏国防相は、08年11月27日にコミュニケを発表し、フランス核実験被害者補償法案を来09年第1四半期に提出する意向を発表しました。 1960年にサハラ砂漠で最初の核実験を行って以来、フランス政府は一貫して「フランス核実験による放射能で被害を受けた者はいない」とする主張を貫いてきました。今回、モラン国防相は、「われわれは核実験被害者を認めなければならない」と述べ、フランス政府が2009年第1四半期に核実験被害者補償法案を提出する準備を進めていることを明らかにしました。この発表は、フランス政府がこれまでの立場を初めて覆し、被害者が存在することを認め、その補償を行う意向を示したという意味で、画期的な一歩といえます。フランスのメディアは、こぞって「フランス政府、核実験被害者に補償」「元核実験従事者に希望」といった見出しで大きく報道しています。 しかし、発表された政府法案の骨子を見ると、これまで被害者団体が要求してきた内容とはほど遠いもので、基本姿勢は従来とまったく変わっていないことが分かります。