世界のヒバクシャはいま

核兵器と原子力による被爆者・被曝者の権利回復運動についての情報サイト

 

Archive for December, 2009

フランス核実験被害者補償法(モラン法)の欠陥とは何か?

2008年11月末にエルヴェ・モラン・フランス国防相が立法の意向を表明した「フランス核実験被害者補償法」は、ほぼ1年後の09年12月22日にフランス上院で可決され、2010年に施行の見通しとなりました。 日本も含め、フランス内外のマスメディアでは「長い間放置されてきたフランス核実験被害者にようやく救済への道を開いた歴史的な法律」といった報道が行われ、あたかもこの法律によって被害者の補償問題が解決したかのような印象が広がっているように見受けられます。 しかし、当の被害者団体はこの法律を「遅すぎた不十分な法律」と非難しています。それは何故でしょうか?

フランス核実験被害者補償法:上院における修正カ所と最終的な条文

2009年12月22日、フランス核実験被害者補償法が上院で可決され、フランスで初めて同国の核実験が人体に被害を与えたことを認め、被害者に補償を行う歴史的とも言える法律が成立しました。 09年6月30日の国民議会(下院)決議でもいくつかの修正が行われましたが、上院でも修正が加えられました。おもな修正点は、「因果関係の推定的認定」(被曝の事実と特定の疾病を罹患している事実が証明されれば、その間の因果関係の証明を免除し、両者の因果関係を推定的に認めること)をより明確にする修正と、被害者本人が死亡している場合の遺族の権利の明確化の2点です。 以下は、同法の上院での修正箇所を記した最終的な条文の邦訳です。文中、取り消し線部分は削除された文言、下線部分は新たに挿入された文言であることを示します(いずれも訳者による追加)。また、主要な修正箇所について、その修正案を提出した上院議員による修正提案主旨の要約を、脚注の形で付記しました。